恋わずらいとやらについて

今までの人生で、恋わずらいをしたことが一度だけある。
対象となる人物のことを寝ても覚めても考えてしまって、げっそり痩せてしまった。
私はそういうタイプだと思っていなかったので、とても驚いた。

本当に全く食が進まなくなる、ということに加えて、仕事中でもふと考えてしまって手が止まることに衝撃を覚えた。
今までなかったことなので、一体どうしていいか分からない。
気の弱さに対してふがいなく思うとともに、自分にもこんなに女子らしいかわいい一面があるのかと思って一人にやりとしたものだ。

しかし、そんな悠長なことも言ってはいられない。
こちらにもこちらの生活というものがあるのだ。
食べないと生きていけないし、仕事をまじめにやらないとクビになる。

そんなときに、ラジオにたまたま恋愛博士みたいな人物が出ていた。
その人いわく、恋愛というのは1年が限度、だとのこと。

恋をしてどきどきするということは、つまり心臓に負担をかけているということらしい。
人間の身体というのはよく出来たもので、そうした不調は早急に除去しようとする。
すると、このどきどきする気持ちを脳が落ち着かせてしまって、段々と冷めてくるらしい。

これは大変だ。
ということで、私は一歩早く手を打つことにした。
このまま自分の人生に何の足跡も残せない気持ちなんて無駄である。
だから無駄にしないために、一回フリーズドライすることにした。

あまりに気持ちが昂ぶっていてどきどきするせいで逆に寿命を縮めるなら、あえて大したこと無いと思い込めばよい。
この適度な気持ちを維持することで、私のこの恋わずらいは軽度の慢性的症状ですんだのであった。
裏を返せば、長い目で見ないとどうにもこうにもならない恋愛である、ということはあえて言うまでもないことである。

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